膵(すい)臓を定期検査

健康

分枝型IPMNで経過観察

膵(すい)臓の検査のため、病院へ。
持病の膵管内乳頭粘液腫瘍(分枝型IPMN)の定期チェックです。
すい臓に腫瘍ができているのが分かったのは10年ぐらい前でしょうか。
以来、1年に1度の頻度でMRI検査を受けています。

膵臓は、膵液が流れるいわば〝本流〟ともいうべき膵管(膵液の流れ道)が組織内を貫いていますが、本流の膵管には〝支流〟の膵管がいくつあって、本流につながっています。
分枝型IPMNは、その支流膵管の源部分に袋状のブドウの房のような腫瘍ができて、その袋の中に粘液がたまって膨らんでくるというのが特徴で、大きくなった袋が他の組織を圧迫したり、悪性化するとすい臓がんへ移行すると言われています。

公益財団法人がん研究会有明病院のHPには次のような記載が-。

膵液の流れ道である膵管を川に例えると、河口(十二指腸乳頭)につながる本流に相当する主膵管と、山々(膵臓の実の部分、実質)から注ぎ込んでくる支流に相当する分枝膵管があり、IPMNはその発生部位によって主膵管型・分枝型に分類されます。

分枝型IPMNは分枝膵管が膨らむところから始まります。隣り合う分枝膵管が拡張し始めるとブドウの房のような形態になります。やがて全体として3cm程度まで膨らんでくると膨らんだ分枝膵管内にポリープが見えるようになります。ポリープが見えない分枝型IPMNは癌化していないことが多く、以前は3cmを目安に手術を推奨していたガイドラインも、最新のものでは、明らかな増大傾向やポリープの出現がなければ、経過観察とすることを推奨しています。

爺の腫瘍も見つかって以来、うれしくないことに年々成長、増大傾向にあって、年単位でどの程度変化しているかを経過観察している状況。
担当者からは、急激に大きくなれば、がん化を疑わなければならないと〝宣言〟され、「お腹や背中が痛くなったら異変アリの危険信号です」と忠告されています。

眠ることなくMRI終了

MRIによる検診は14時過ぎに開始。
この日は朝食を8時ごろまでに済ませ、昼食はNG。
検査開始前2時間前ぐらいまでは水やお茶を飲んでもOKですが、その後は一切の摂取はダメと言われていました。

受付窓口に行くと、さっそく看護婦さんが当方の手首近くに体温測定器をかざしてきました。
ピッピッと鳴ると36.3度。
平熱であっても新型コロナ罹患の有無に関する問診票が手渡されて、記入するように促されました。問診票提出からほどなくすると名前が呼ばれ、看護師の後をついていってロッカー室へ。

「パンツ1枚になって、こちらのガウンの中からサイズの合う物を着たら、待合室で待っていてください」。指示に従い、ガウン姿になってロッカー室から出るとすでに看護師さんが立っていて、待合室に向かうことなく、今度は「この書類を持って、こちらの通路から検査病棟の方へと向かって、テレビの付近のソファにかけて、係員が来るのを待っていてください」と言います。

ソファで15分以上待って、ようやくMRI検査室の前まで移動。
画像映りを良くするため、大きめのビニールコップに入った透明の造影剤を手渡され、飲むようにとの指示が。金属類をつけたままの検査はNGで、メガネを外し、マスクも金属の鼻具入りだとまずいのようで、検査の間だけ病院側が用意したマスクに付け替えるようにと指示を受けました。

検査室に入ると、例の狭く細長いトンネル状の検査器具の中へと押し込まれるベッド上に仰向けに。
検査中に身体が動いて検査画像がブレるのを抑えるため、上半身を拘束バンドで固定し、さらにその上から重量のあるプロテクターのようなものを胸の乗っけられて…。
「検査時間は約20分です。眠ってしまうと呼吸が乱れてしまいますので眠らないようにしてください。呼吸は一定のスピードで繰り返すようにしてください。ヘッドホンをつけますので、音声指示に従ってください」

そうでした、そうでした。一定の速さで呼吸を刻んでいると、どうしても眠くなってしまうんですよ。以前、眠ってしまって画像がブレてしまったこともありましたので、今日は眠らないようにして…。

「気分が悪くなったらこのブザーを押してお知らせください」
検査員にそう告げられ、ブザーボタンを左手に握らせてもらうと、当方を乗せたベッドはそのまま検査器具の奥の方へとスライド。顔と検査器具との距離は30センチもなく、閉所恐怖症の人なら、きっと狭くて耐えられないぐらい。マスクを着けているので、ただでさえ息苦しいのに、なおさらです。

検査に必要な磁場形成に伴う「ピーピー」「カンカン」「ガーガー」「ドドドド」という〝騒音〟がヘッドホン越しにでも漏れ聞こえる中、「息をはいてぇ、すってぇ、はいてぇ…はい、そこで止めてください」。「呼吸を1分続けてください」「呼吸を3分続けてください」等々の指示が飛んできました。
眠ることもなく、検査は予定通り20分ほどで終了しました。

がん化の異常なし

幾つか横並びとなっている診察室前のソファへとまた移動して15分ほどすると、一番隅っこの診察室から呼び出しがあって、いつも説明してもらっているKさんが診察室から出てきてくれて、呼び込んでくれました。

診察室に入ると、いつものように机上のパソコン画面には、すでに何枚かの撮影画像が掲示されていました。さっそく画像を示しながら…
「今回最大のもの(IPMN)で直径が29.4㍉。3年間には27.3㍉でしたので、大きくなっていますが、年に1㍉ほどですので異常に巨大化しているというわけではありません」
「他にもいくつか(IPMN)あって、若干大きくなったものもあれば、小さくなったものもあり、これまでと同様です」
「がん組織を識別できる拡散強調画像分析でも、がん化の異常はありません」
そう告げられ、ホッとしました。

なお、こちらから「がんと診察されたケースでは、どのくらいの大きさになっていることが多いのでしょうか」と聞くと「そうですね、40㍉から50㍉でしょうか。一方で10㌢(100㍉)になってもがん化しない人もいますよ」とのこと。

先述したように、以前は30㍉を目安に手術を推奨していたようですが、最近では明らかな増大傾向やポリープの出現がなければ、経過観察を推奨しているといいます。爺の場合、最大のもので29.4㍉といいますから、大きさからすれば危険水域に入ろうとしていますが、「明らかな増大傾向」「ポリープの出現」はみられませんが、経過観察は続きそうです。

今春に還暦退職した後、10月から「ひとり起業」したことを報告すると「好きな仕事を選べるし、社会ともつながった生活を送れますから、健康上とてもいいことですよ」との言葉をいただきました。
「それでは、また1年後にお会いしましょう」
最後に当方がお礼を述べると、Kさんはそう応じてくれたのでした。

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