冷静さ取り戻した兄
朝方、兄が当方のスマホに電話をくれました。
昨日、父の看護をめぐって私と意見が食い違い、兄は「だったらお前に任せる」ととげとげしいやり取りがあっただけに、ホッと安堵-。
昨日と比べ、落ち着いています。
兄「今朝、親父と話をして『(介護老人保健)施設へ入所してもいいのか?』って聞いたら『ご飯を食べさせてくれないなら、そうするしかないな』という応えだった。入所する前に親父のかかりつけのO医院で、親父の健康状態の診断とコロナ感染の検査を受けないといけないので、俺はきょう一日、その対応をすることになる」
私「昨夜、訪問看護(訪看)看護師のNさんと話をした。現状を考えると、親父にとっても、兄貴にとっても施設入所がいいと思う。というか、もうそれしかないよ。入所するのにいろいろ手続きがあって申し訳ありませんが、よろしくお願いします」
兄「分かった。適宜連絡を入れるよ…」
冷静な対応に、再び胸をなで下ろしたのでした。
昼前に兄から再び電話-。
兄「親父はさっき健康診断とコロナウイルスの検査を受けたが、どちらも問題がなかったので、今日から取りあえず、O医院のグループ施設で、O医院の隣にある介護老人保健(老健)施設に入ることになった。期間は未定。お前と一緒に入所の手続きを取りたいと思っているが、こちらにはいつごろ来ることができる?」
私「来週月曜日は外せない仕事が入っているので、火曜日には行けると思う」
兄「そうか。午後がいいよな?」
私「その方がありがたい。親父とも会って話をしたいと思っていて、面会の手続き方法を確認してもらいたいのですが…」
兄「面会は1週間に1度、事前に予約すればできるって言っていたが…火曜日の入所手続きの際、俺も一緒に親父に面会できるように話をしておく」
私「よろしくお願いします」
ほどなくして今度はNさんから-。
Nさん「先ほど、お父さまが入所されました。お兄さんが手続きを取っていると思います」
私「いろいろありがとうございます。もうこれ以上、兄の方で介護するのは難しくなったようで…」
Nさん「そうですね。私もその方がいいと思います。ただ、お兄さんが施設の様子を見学したいとおっしゃっていましたが、それはちょっと…」
私「コロナの感染予防上、できること、できないことがあると思いますで、その旨兄にお伝えください。ところで父の部屋は個室でしょうか?」
Nさん「個室です」
父はわがまま、気ままな性格ゆえ、他の入所者に迷惑がかかることが容易に想像できたので朗報です。心配していた1つが解消されました。
さらにNさん-。
「お父さまは自宅でいつも肌着姿でしたが、施設ではそうはいきません。私の方で取りあえず、着る物を自宅からお持ちしたのですが、すっかり痩せてしまわれたのでウエストがガバガバの物しかなくて、今の体に合った部屋着とか肌着、身の回り品が必要かと思います」
兄と話をして対応したい旨を伝えるとともに、昨日からのお礼を申し述べました。
いつもことですが、Nさんに〝脱帽〟です。
興奮、動揺する父
老健施設へのショートステイが決まり、ひとまずひと安心と思っていたところ、数時間後の夕刻、父から当方のスマホに連絡が-。
「俺だ。みんなグルだ」
「おれはだまされた。ここは監獄だ。助けに来て」
興奮した口調で「グル」「監獄」「助けに来て」などと、穏やかではありません。
「みんなって、グルってどういうこと?」
兄(M)と訪看のNさんの名前を挙げて…
「MとN。ここに入るのは明日だって言っていたのに…。書類も俺にまったく見せずに、Mが全部持って行った」
私が「書類って?入所手続きの書類のこと?」と問い掛けても、父は聞く耳など持てない状態で、一方的にしゃべるのでよく理解できません。
「とにかく早く助けに来て」
内容、趣旨が不明なまま、電話はいったん切れましたが、また数分後に掛ってきて…
「早く来て。ここはひどいところだ。Mに電話をしても出ない。出るまで毎日Mに電話してやるっ!!」
完全に感情的になっています。
私「どんなふうにひどいの?落ち着いて、言ってみて」
父「どんなって、こっちに来て見てみないと分からない」
私「ひどいってどういう状況なの?説明してみてよ」
父「とにかく早く来てください」
話が交わることはなく、自分の現状を具体的に説明できないほど気が高ぶっています。
今度は兄から-。
「親父から俺のスマホに電話が掛ってきて『だましたな。一生恨んでやる』って…。主治医のI先生、看護師のNさんと会って話をした上で入所が決まったわけで、だましてなんかいないし、一生恨んでやると言われてもな…。まぁ恨まれても仕方がないかもしれないが…。そっちにも親父から電話があると思うが、そういう状況だから…」
兄の困惑ぶりが伝わってきます。
私「さっき、こっちにも親父から電話があったよ。『だまされた』と言っていたが…」
兄「施設に入所することを本人に伝えて、納得したはずなんだ。施設前の玄関口のところで『おれもとうとうここに入ることになるのか』と言っていたから、あぁ親父も覚悟を決めたんだなと思っていたんだが…。とにかく俺が独断で決めたわけじゃないから。お前からもそう説明してやってくれ。親父は『入所は聞いていない』とか言っているが、自分に都合が悪いことは忘れたり、忘れたふりをしたりするから」
私「分かった。親父からまた電話が掛ってきたら、そう伝えるよ」
その後も父から五月雨式に何度も電話が掛ってきました。
父「俺はずっとここに居るの?ここから逃げようと思ってるんだが」
私「ダメだよ。Nさんの話では、あなたの体調を考えると1週間ぐらいは、という話だったよ」
父「ホテルかどっかへ行こうと思ってる」
私「ホテルなんかに行けるわけがないでしょ、体が思うように動かないんだから。無理だよ」
これまでの経緯を振り返させることで、何とか落ち着いてもらおうと試みました。
私「主治医のIさんに診てもらって、親父の体、健康のことを考えるとそこに入所するのが望ましいとなったんだよ。そうでしょ?そこだったらご飯もきちんと食べさせてくれるでしょ。ご飯は食べた?」
父「食べたけど、ほんのちょっとだ。Nさんに話してもダメか?」
私「ダメでしょ。だって体調が悪いからNさんに病院へ連れて行ってもらって、そしてI先生の診察を受けて、そこに入所することになったんだから、そうでしょ?」
父「そうか…」
私「施設なんだから自宅みたいにはいかないよ。自宅ではMが面倒をみれないと言っているわけだから、そこに居るのが一番なんだよ」
面会の約束で父コール止む
繰り返し説得するのですが、なかなか父の理解が得られません。
父「明日迎えに来てくれ」
私「いや、明日は無理。面会するにしても事前に予約が必要だっていうし。来週の火曜日ならば行けると思う」
父「火曜日?」
私「そう。火曜日。明日、明後日、明明後日」
父「明日、明後日、明明後日の火曜日か…分かった」
面会の話を切り出したら、徐々に落ち着きを取り戻してくれたようです。
私「家に帰りたいと言っても、独りで食事は作られないし、食べられない状況なんだから、親父の体にとっていいことないよ。そこに居ればご飯をちゃんと食べさせてもらえるし、いろいろ面倒をみてもらえるでしょ。Nさんからも連絡を受けて、I先生の診察も踏まえて、Mと私とで相談して、そこに入所することになったんだよ」
父「あぁ。とにかく説明はいいから、早く来てくれ」
父からの立て続けのコールはこの4回目を最後に、ようやく止みました。