訃報契機に
約2か月前、W大学時代の後輩から1本の訃報メールが届きました。
学生寮で共に過ごした、2年上の先輩が自死に至ったとの内容でした。
享年63歳。共同経営していた会社内での主導権をめぐるトラブルが原因とのこと。
二枚目のスポーツマンで、テニスが上手くて社交的、笑顔が素敵な方でした。
事情があって葬儀・告別式に参列できなかった同輩・後輩有志が偲ぶ会を開催しようということになり、都内の小料理屋に亡くなった先輩と同期のお2人と私ら後輩5人の計7人が夕刻、三々五々集まりました。このお店は当時の学生寮から歩いて10~15分ほど。神田川沿いにあって、よく皆でお酒を飲んだり、アルバイトをさせてもらったりしたものです。
昨日と違って本日は雨。
涙雨の下、最寄の駅から学生時代のことを思い起こしながらお店までとぼとぼ歩いて向かいます。
大学生活の拠点となった学生寮は東京学生会館-。
すでに取り壊され、別の建物が立っていますが、当時は通っていた大学だけなく在京のさまざまな大学の学生400人以上が住むマンモス寮でした。一部屋がわずか10~12畳ほどで、入口のドアを開けると左右に2段ベッド、その奥に2連の木机が備えてあり、そのスペースを3~4人で共有していました。
ルームメイトとの〝仕切り〟は自分のベッド周りのカーテンだけ。ほぼプライベート空間などなく、今では考えられないほどとても「オープン」な環境でした。
会の冒頭、店主の計らいで冒頭皆で献杯を捧げました。
亡くなる約3カ月に、一緒に食事をしたという別の先輩は「当時うつ病で通院していたらしいが、そんな様子もなかったのに」と改めて肩を落とし、他の出席者は「寮活動で先輩が渉外担当を進んで引き受けてくれたおかげで、外部団体との交流が深めることができました」。別の者は「OB会が開かれて二次会に行こうと意気上がる連中に心遣いをいただいた」などとそれぞれ思い出を話してくれました。
心の中で改めて合掌です。
回想40年
亡くなった先輩がこの日、皆を引き合わせてくれました。
偲ぶ会で大学卒業以来約40年ぶりにK先輩と再開。
親のすねかじりだった私と違って、自ら学費を稼いで大学を卒業された苦学生-。
白髪になられてはいましたが、優しい笑顔と語り口調は昔そのまま。
出身が私の郷里のお隣ということもあって、よくかわいがっていただきました。
この日は、K先輩と同じ部屋でお世話になった私の同期も一緒でした。
通学先の大学でアルバイトをして、職員と学生の「二刀流」を成し遂げた話や、私の同期が寮のルームメイトの先輩と折り合いが悪くなって、先輩の部屋に引き取られることになった裏話。
寮の新入生歓迎コンパのとき、後輩が急性アルコール中毒になって救急車に同乗して病院へ向かったという少々苦い思い出も。心配になって自ら意識のない後輩の手首で脈をとってみたら弱弱しく、その時は生きた心地がしなかったとか…。
回想話の合間に、先輩は何度か「いや~認知症だから忘れちゃったな」と口にします。気になったのですが、こちらからそれ以上のことをうかがうのもはばかれ、そのままに。
偲ぶ会解散後、先輩と最寄り駅まで一緒に歩いていたら、こちらに向かって「よくビリヤードにも行ったなぁ」。反射的に「そうでしたか?」と軽々に答えてしまいましたが、その直後、確かにビリヤードに夢中になっていた時期があって「四つ球」「ナインボール」の指南を受けたことを思い出しました。
失礼しました!私の方こそ、だいぶ記憶が薄れてしまっています!!
K先輩とは駅での別れ際、改めて学生時代の御礼と次回の再会をお願いし、握手をして別れたのでした。
またお会いできる日を楽しみに。
同期から花のプレゼント
同期の4人にも再開できました。皆、元気そう。
2人とは4、5年ぶり、もう2人とは30年ぶりぐらいでしょうか…。
すると思いがけず、同期の1人から「退職おめでとう、ご苦労さま」との言葉とプレゼントのサプライズが!
遠慮もせずに「ありがとう」とだけ言って差し出された手提げ袋を受け取り、不躾にもそっとのぞいてみると、フラワーアレンジメントではありませんか。
自宅に着いて袋から取り出してみると、カーネーション、ガーベラ、アリストロメリアといった赤、ピンク、オレンジ、白のかわいらしい花々。
よく見かける花ですが、名前が分からない花があって、花言葉とともに調べてみることに。
カーネーションは「愛」「感謝」というのは知ってはいたのですが、色によって違うことを初めて知りました。ガーベラは明るく陽気な色を咲かせることから「前進」、アルストロメリアの花言葉も色によって違うようで、白い花は「凛々しさ」とか。
名前が分からなかったのは、ネットで検索した結果、スターフルーティースプレーカーネーションでした。花言葉は「素朴」。
花屋の店員さんの趣向なのか、花言葉に思いを込めて選んで贈っていただいたのかは不明ですが、温かい感謝の気持ちを受け止めて、これからも素朴ならがらも凛々しさをもって、前進していこうと思います。
ありがとうございます。
さっそくリビングに飾らせていただきました。