自然満喫&震災演習…
世はシルバーウィーク。
妻が遅い夏休みを取ることにしたので、昨日18日、2人で車に乗って出かけることにしました。
計画を立て始めたのは2週間ほど前から。
行き先は、妻が厳選した富士山の麓(ふもと)にあるキャンプ場(場静岡県富士宮市)で、その名も「ふもとっぱら」。
富士山を一望でき、「すべての人に自然の中の生活を」というコンセプトでPRしているそちらへ。
コテージ、キャビンといった宿泊施設も用意されていますが、車で乗り入れてテント・車中泊ができるキャンプサイトを利用することにしました。
小学校時代の野外活動あるいは少年自然の家への参加以来という2人がなぜ半世紀ぶりに「にわかキャンパー」となったのか!?
世界遺産である日本の象徴・富士山を間近に見て自然を満喫できるだけでなく、長らく眠ったままのテントやクーラーボックスを引っ張り出し、古い備蓄食料を使って新たに補う「ローリングストック」を実践することで震災発生時の〝サバイバル演習〟にもなる。加えて、お財布にも優しい企画という「一石三鳥」狙いから-。
利用予約はインターネットでしか受け付けないというので、爺が事前にホームページへアクセス。
見ると、日帰りもできますが、宿泊の方は1日当たり大人1人1千円、普通車1台2千円(いずれも税込)と格安の料金設定になっています。
今回は2泊してみようということで、2人で2千円+車代2千円×2日=計8千円也。
当方の氏名、住所、連絡先メールアドレス、利用人数、車種・ナンバー等をネットで登録。
料金の支払いは現地入場時にキャッシュでもカードでも。
この日、自宅で朝食を取った後、キャンプ道具をミニバンに積み込み、ゆるりと出発。
まずは「ふもとっぱら」最寄りの新東名高速道路「新富士インター」を目指します。東名高速はこれまで何度も使っていますが、新東名高速を利用するのは始めて。
御殿場を過ぎると3車線となり、走っていると目に飛び込んできたのは時速80㌔と同120㌔の2つの制限速度を掲げた並列の道路標識。
120㌔設定は、実際に走っている実勢速度と規制速度の隔たりを改善するとともに、適正な実勢速度が保たれることで高速道路での安全と円滑な交通を確保することを目的としたといわれているそうです。
確かに新東名はほぼ直線でインターチェンジも多くなく、ドライバーの思惑が交錯する機会が少ない分、アクセルを思いっきり踏め、スムースに走れました。
新富士インターを下りて富士宮市内で食材や飲み物を購入した後、40分ほどで「ふもとっぱら」へ入場しました。
曇天で姿見えず
場内ルールでは自動車は徐行、2メートル強のでこぼこ砂利道をハンドルを握りながらゆっくりとサイトの奥へ進みながら、テントを張る場所を物色。
にわかキャンパーでも比較的楽に設営できて快適に過ごせるようにと、なるべく平らで水場が近いところをチョイスして、道路脇の草地へ車ごと乗り上げて確保しました。
ただ、トイレまでは少々距離があり、私としては夜間少々難儀しましたが…。
到着時の天候は薄曇りで、時折陽差しが差し込みますが、残念ながら富士の姿を見ることができません。
他方、標高約800メートルとあって時折秋風も吹いて、首都圏と違ってとても涼やか。
今のうちにとテントを張って、ミニバンの後部に詰め込んできた道具一式を移動させます。
20年以上に入手しながら1度広げただけで実際には使っていない旧式モノのドーム型テント。窓が1カ所しかなく風通しが悪いので、今回は初めから車中泊を想定し、テントはもっぱら物資置き場として利用することにしました。
荷物移動を終えると昼食の用意。
バーベキュー用グリルを取り出し、先ほど購入したばかりの牛ハラミを焼くことに。
慣れない手つきで着火剤に火を付け、その周りを囲むように炭をたてかけて…。
実は今回持ち込んだ炭も20年モノ!
ちゃんと燃えるのか心配だったので、まもなくして火移りしたのでホッと一息ついたものの、いかんせんいまひとつ火力が頼りないという問題が。
料理後の掃除が楽なようにと最初はグリル網の上にアルミフォイルを敷いてその上で焼いていたのですが、らちがあかないので網の上で直焼きに。
焼き上がるまで想定外の時間がかかってしまいました。
それを横目に見ていた妻がこんなこともあろうかと家から持ってきたカセットコンロをそそくさと取り出して、着火。
屋内テーブル用なので野外とあっては風に弱いのですが、防風用にと買い込んできた天ぷらの油はね帽子用の厚めのアルミ箔で手際よくコンロの周りを囲うと、野菜を焼き始めました。
これが爺の炭火と比べ、圧倒的な勢いと安定性を誇り、妻に〝軍配〟が上がる結果に。
強風が吹かなかったからとはいえ、ガスの力を思い知らされたのでした。
夜には2人の寝室となるミニバンの前部ドアと後部スライドドア用の窓用にこのたび購入した防虫ネットを装着しました。黒のポリエステル地で作られていて、外からは車中が見えにくく、カーテン代わりにもなります。
ミニバンの2列目と3列目の座席を倒してフルフラット状態にして、その上にこれまた新たに購入したエアーマットを敷いてベッドメイキングしてみました。
風通しよく、なかなか快適。窓の開閉具合によって車内温度の調整が可能で、これなら寝苦しさを感じることなく、眠りにつけそうです。
おでん、落花生を堪能
昼食の後片付けを済ませ、キャンプ場内をブラブラ散策した後、早々にシャワーを浴びることに。
うれしいことに施設内には浴場があり、コロナ対策の名残か浴槽にお湯は張られていないものの、シャワーの利用は無料解放となっていました。
こざっぱりした後は車中で小休止していたのですが、喉も渇いてきてそのまま眠るわけにもいかず、小腹も埋めるべく、小雨が時折降る中、傘と携帯懐中電灯を持って敷地内にある居酒屋空間「和膳二代」に出かけることに。
こちらでいただいたのは静岡おでんとジャンボ落花生。
マスターによると、木曜日から日曜日までの限定オープンで、この日は日曜日に続く祝日・敬老の日だったため、営業をしているのだとか。
ラッキーでした。
静岡おでんといえば、黒はんぺんは外せません。
それから卵とキンチャク、コンニャクほかにも魚粉をかけて。
妻は初めて食すそうで、爺も同じ経験をしましたが、魚粉にむせかえっていました。
で、青のりをかけるのをすっかり忘れてしまいましたが、おいしくいただきました。
そして、陳列テーブルに並んでいたビニール袋に入った塩ゆでされたジャンボ落花生。
落花生の産地といえば千葉を思い浮かべますが、マスターによると富士宮市ではこれからジャンボ落花生が旬を迎えるそうです。
小指の第1関節ぐらいある、その大きさにびっくり。
食べ応えがあって風味も濃厚で止まらず、思わず角ハイボールが進んでしまいました。
小一時間ほどでホロ酔い気分に…。
外はすっかり暗くなりほぼ暗闇状態。雨脚が強くなってくる中、自分の車・テントまで傘を差して足下を携帯懐中電灯で照らしながら戻りました。
オリオン座との共演
ミニバンに戻って、エアーマットの上に横たわってみて寝心地を確認。
このマットは長さ188㌢、幅60㌢で、空気弁の開閉タイミングによって厚さが10㌢まで膨張することで反発力を調整できる優れものです。
しばらくすると眠くなってきたのですが、外は雨が降ったりやんだり。
天候が回復して、明日は富士の姿をぜひ見れますようにと祈りつつ、床に就きました。
日付が変わった午前1時前、小用を足しに行こうと車から降りてみると、雨はすっかり上がっていました。
何気になしに富士山の方角を見ると、何と!その姿を現していました。
山頂から双方の裾野がきれいに延び、濃紺色にくっきりとその姿が浮かび上がっています。
その雄大さ、美しさに圧倒されました。
山頂から大空にかけてたくさんの星が輝き、向かって左の裾野辺りにかけてオリオン座が明るく光を放っているのが確認できます。
まさに、富士山とオリオン座の共演です。
頭上を見上げれば、これまた数え切れないほどの星、☆、★そしてまた星。
ハワイ島に旅行したときに見た満天の星と天の川には圧巻されたのを思い出しましたが、同等かそれ以上でしょうか。
星の光に強弱があるため、宇宙の奥行きを感じ取れ、しばらく見ているとめまいを感じるほど。
トイレに行くのを忘れるぐらい、生涯忘れることができない光景の1つとなりました。
自分のスマホでは映し出すスペックを保有していないため、記録できないのが残念でしたが、しっかりと記憶に刻み込みました。
トイレから戻ってからもそのまま車内には戻ることはせず、しばらく富士山と満点の星に見とれていました。
午前4時前、再び小用。
外に出ると先ほどよりヒンヤリして、気温は18度ほど。
富士山はさっきと同様、濃紺の悠然たる姿を誇っています。
オリオン座というと富士山の先ほどの位置にはすでになく、上空を見上げて探してみると、ずっと西の上空へと移動していました。
今度は妻も起き出して、一緒に富士山と満天の星空を堪能しているようす。
「いや~これまでにない素晴らしい体験ができた。今回の目的はほぼほぼ果たした」
妻に向かって思わずそう口にしていました。