案内状届く
本日で10月も終わり、明日から11月です。
10月初めに開業届出書と青色申告承認申請書を管轄の税務署へ提出した際、青色申告に伴う記帳に関する指導講習会があり、受講を申し込めば案内が月内に届くと聞いて受講申請書を提出したのですが、その後、なしのつぶて。
そこで先週、税務署の個人課税部に電話をかけて講習会の有無を問い合わせると、30日の午後と、31日の午前および午後に「記帳説明会」を開くことが分かったので、31日午前の受講を申し込んだのでした。
案内文も自宅に送付してくれるとのこと。
2日後、税務署から封書が届き、開けてみると案内文が1枚。
事業所得を有する方、各回定員40名を対象に説明を行うとし、次のように書かれていました。
税務署では、事業所得を有する方などを対象として、記帳・帳簿等保存制度や消費税の処理等に関する基本的な事項の説明を下記のとおり開催いたします。
新たに記帳を行う方や、記帳の仕方、インボイス制度への対応がよく分からない方などは、今回の記帳説明会を是非御利用ください。
青色に3つの特典
本日の記帳説明会は午前9時半から。
自宅から会場の管轄の税務署へは徒歩で向かいます。
税務署を訪れるのは、先日の開業届出書提出以来のこと。
1階の玄関を入ると、案内板が掲示されていて、すぐ脇の会議室が説明会場でした。
会議室には、1つの長机に2人が座るような形で、横3列、縦7列(と記憶)に配置。
会場入りは説明会が始まる約20分前でしたが、すでに10名弱の方たちが着席していました。
説明会の冒頭は、地元の青色申告会なる団体による青色申告制度の「特典」についての話。
個人事業主が納税する際、白色申告と青色申告があります。
青色申告とは、日々の取引を所定の帳簿に記帳し、その帳簿に基づいて所得金額や税額を正しく計算し申告することで、所得の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度で、税金の面でいろいろな特典を受けることができるということです。
ネット情報によると、青色申告の呼称は制度創設当初、申告書が青色だったためとか。
特典の1つ目は「青色申告特別控除」-。
ちなみに、自分の手元に入ってくるお金である「収入」から、家賃や光熱費などの「必要経費」を引いたのが「所得」で、その「所得」からさらに一定額を差し引いて税負担軽減のため設けられているのが「控除」制度です。
自営業・フリーランスの場合、青色申告でなければ(白色申告ならば)「基礎控除」48万円なのに対し、所得が2500万円以下であれば、青色申告をすれば「青色申告特別控除」として、10万円か55万円あるいは最大65万円まで控除が上乗せ拡大できるといいます。
2つ目が「青色事業専従者給与の必要経費算入」-。
青色申告をしている事業者と生計を一にしている配偶者や15歳以上の親族で、その事業にもっぱら従事している人への給与については必要経費として認められるため、税負担を軽減することができます。
3つ目が「純損失の繰り越し」-。
事業開始からしばらくの間は、収入より経費の方が上回って赤字となるケースもあるわけですが、純損失の金額について、3年の間は順次各年分の所得金額から差し引くことができ、税負担を軽減することができます。
青色申告の特典の話は10分前後。
ただし、有利な取扱いを受けるためには「帳簿と決算関係書類や領収証、預金通帳等の書類は7年間、また契約書や納品書等の書類は5年間保存しておかなければならない」と強調していました。
独学か青色申告会入会か
その次が、説明会のメインテーマの「帳簿の記帳のしかた」でした。
税務署の個人課税課の職員さんによる簡易帳簿の種類やその記帳内容・方法についての話で、標準的な簡易帳簿5種類に関して説明。パソコン・スマホの利用者は会計ソフトの導入を勧められました。
- 現金出納帳:事業用の現金の出し入れ状況を、取引順に記載する帳簿
現金売上や現金仕入を行った場合の売上帳と仕入帳を兼ねます。 - 売掛帳:得意先ごとに口座を設け、商品などの掛け売りや、売掛金の回収の状況を記載する帳簿
商品を家事用に消費した場合は「家事消費」口座、商品を事業用に使用した場合は「事業用消費」口座。 - 買掛帳:仕入れ先ごとに口座を設け、商品などの掛買いや、買掛金の支払いの状況を記載する帳簿
- 経費帳:仕入れ以外の事業上の費用を租税公課、水道光熱費、旅費交通費、給与賃金などの科目ごとに口座を設けて記載する帳簿
費用の金額を現金で支払った費用と、それ以外の小切手払いや現物給与などのそれ以外の費用に区分して記載する。 - 固定資産台帳:事業用の減価償却資産や繰延資産について、原則として個々の減価償却資産ごとに口座を設け、資産の取得及びその異動に関する事項などを記載する帳簿
帳簿の主な記載ポイントも解説してくれました。
現金出納帳に関しては-。
記載は毎日行い、残高を必ず記載してその日のうちに実際の現金と付き合わせることが大切。事業用と私用を区別する。預貯金の入金・出金は別途預金出納帳を作成する。費用を支払った場合は経費帳への記載も忘れない。
経費帳については-。
記帳を始める前に、費用の科目の分類を考えて科目ごとに記載することと、家事按分について按分基準を明確に示せるようにすることが重要。
収入を得るために直接かかった経費が必要経費であり、どの科目に該当するかは一覧表(会場で配布)を参照し、もし一覧表に載っていないようであれば、自分なりのルールで科目を新設してもよい。
自宅兼事務所の場合、水道光熱費、通信費に関しては何割なら経費として認めるという基準はないので、事業主の責任で事業用と私用との按分基準を時間換算であれ、面積換算であれ、きちんと考えて対応し、税務調査の際には按分基準をひるまず、あせらず、説明すること。
固定資産台帳に関しては-。
事業用に使用する建物や車両などは減価償却資産として、その資産の取得に要した費用を定められている使用可能期間に配分して必要経費に算入する。個々の資産ごとに口座を設け、資産によって耐用年数、償却率が違うので、減価償却費を算出した上で、取得価格から償却額を差し引いた金額(未償却残高)等として記載する。
いろいろ勉強になったのですが…。
簡易帳簿では青色申告特別控除は10万円にとどまり、55万円あるいは65万円の控除を受けるためには、複式簿記とe-taxによる申告が必要となりますが、結局、この日は複式簿記、e-taxに関する言及はないまま終了となりました。
質問の時間が設けられたので、先般申し込んでいた無料の記帳指導の開催の有無について職員に尋ねてみると、「今年度はすでに実施済みで次回は来年度になってしまいます」。
今回の説明会以上の詳しい記帳方法については、「青色申告会による相談会が開催されます」。
この日、資料と一緒に〝30分無料相談券〟が配布されたものの、相談が30分を超えた場合について、同会関係者に聞くと、「会員になっていただければ、30分を超えて年間いつでも個別指導を受けられます」。
会費を尋ねると「年会費は2万円です」。
青色申告特別控除の拡大のため、独学で会計ソフトを使いこなせるようになるか、あるいは青色申告会に入会するか、悩ましいところです。