個人事業税対応で
自宅周辺を所轄する税務署に個人事業の開業届出書と所得税の青色申告承認申請書を先日提出して受理されたので、ホッと一息ついて、先般購入した事業の始め方の本をパラパラとめくって読んでいたら、何と気になる見出しが!
「都道府県に個人事業の開始を届出る」ですって!?
えっ、税務署だけでなく都道府県税事務所にも開業を届出ないといけないの!?
個人事業税なる地方税があるため、所轄の都道府県税事務所に個人事業の開始申告の手続きを事業開始から15日以内に取らなければいけない、という内容。
所得税は国税なので関連書類は税務署へ-。こちらはすでに対応済み。
個人事業税は地方税なので関連書類は自治体の税事務所へ-。こちらが未対応。
税務署と都道府県税事務所にそれぞれ提出しなければならなかったということが判明しました。
個人事業税を納めなければならない対象は法定業種に該当する個人事業主となってますが、そもそも個人事業税とか法定業種って何でしょう?
個人事業税は、事業所得(青色申告特別控除前)といわれるもうけに対して3~5%の税率で課税されます。目的は、事業を行う上で公道や公共施設といった行政サービスを利用していると考えられることから、その行政経費の一部を負担してくださいという趣旨のようです。
それで、事業を展開している事務所や店舗のある地方の都道府県に納付する、と。
国が所得税として個人の所得(もうけ)に対して課すのとは別に、都道府県も個人事業税を個人事業主のもうけに対して課しますということですね。
う~ん。
うなっちゃいます。
290万円が分かれ道
で、法定業種は70業種あって第1、2、3種に分類されていて、税事務所によると税率が業種によって3~5%と異なっています。
第1種は、物品販売、運送取扱い、料理店、不動産売買、広告、出版、旅館等々で税率は5%。
第2種は、畜産、水産、薪炭製造で税率は4%。
第3種は、医師、弁理士、薬剤師、税理士、理容、コンサルタント等々で税率は5%。
ただし同じ第3種でもあんま・マッサージ、指圧・はり・きゅう・柔道整復等は税率は3%です。
私の場合、事業内容としてメディア制作、PRプランニング、コンサルタント等と届出してますが、メディア制作といっても第1種の出版業というわけではなく、PRプランニングは広告業と違って効果的な広告計画の提案ですので、コンサルタントの第3種に該当することになるんでしょう、ね。
ただし、1年間の事業所得(もうけ)が290万円以下の場合は、個人事業税は納めなくてもよいということです。
例えば…
収入(売上げ)500万円-必要経費(仕入れ)300万円=事業所得(もうけ)200万円であれば、納税が不要に。
しかし…収入が同じ500万円でも、必要経費が200万円の場合は違ってきます。
収入(売上げ)500万円-必要経費(仕入れ)200万円=事業所得(もうけ)300万円となるので、もうけが290万円超となるため、300万円×3~5%(業種によって違ってきます)の税率をかけた個人事業税を納めなければならないということになります。
今秋立ち上げたばかりの事業なので、そんなにもうけはなさそう…。
取り逃がし、なし
都道府県税事務所に提出する届出書は、自分の住んでいる都道府県の公式HPからダウンロードして入手しました。
書式スタイルは、先日税務署に提出する際に国税庁のHPからダウンロードした届出書と似ていますが、微妙に違っています。
納税地、住所、氏名、生年月日、開業年月日、事業の種類(国税庁の書式では「事業の概要」)を記入しなければならないのは同じ。
大きな違いはマイナンバーの記入欄がないことと、青色申告承認申請書を提出した年月日、家屋の利用状況について回答する欄があることでしょうか…。
従業員の雇用状況を尋ねる欄もありましたが、ひとり起業なので空欄のまま。
控え用の書類にも同様の内容で記入して、税事務所へ持参しました。
税事務所の建物は、税務署とは歩いて3分弱のところ。
税務署と同様、現役時代は一歩も足を入れたことがありません。
他に来訪者の姿は見当たりません。
個人事業税の窓口担当者に個人事業を始めたので届出書を提出しにきたことを伝えると、「書類はお持ちですか」と言って、複写式になっている届出書を出してきてくれました。
それに記入すると、税務署、都道府県税事務所、市町村の三カ所宛てに同じ内容の届出書ができあがるようになっています。当方がすでにダウンロードした書式に記入してきた旨を伝えると「市町村提出用のものはお持ちでしょうか」と尋ねられました。
「税務署とこちら以外に市町村へも届出なければいけないんですか?納税関係の本やWeb情報では提出義務があるのは国と都道府県だけとあったのですが、また市町村宛てのものを書かなくてはいけないんですか?」と応じると、市町村宛ての届出書の提出は求められませんでした。
税事務所宛ての届出書と同じ内容の控え用書類に収受印を押してもらって無事手続きを終えました。
どうして市町村にも届出を求められたのかの理由がよく分かりませんでしたが、帰り際に税事務所で手にしたパンフレット「事業主のみまさん、個人住民税は特別徴収で」の中にヒントを見つけました。
パンフは、事業主が従業員を雇っている場合は、毎月従業員に支払う給与から個人住民税(市町村民税と道府県民税)を天引きした上で、自治体に納入する義務があるという内容です。
そうか!
開業届出書の中に従業員の雇用状況を記入する欄があったのは、従業員がいるようなら、事業主に個人住民税の特別徴収を促す端緒・きっかけになるから。
3枚複写式の届出書には、国が所得税、都道府県が個人事業税、道府県と市町村が住民税を取り逃さない〝徴税の網〟が埋め込まれていた!!
う~ん。
またうなってしまいました。